書記長日記

対馬丸事件

こんにちは、TKDです。

戦争に関わる痛ましいニュースが続いています。1つは、ウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜された事件。もう一つはイスラエルがパレスチナのガザを侵略し虐殺を行っている事件です。

マレーシア航空機には子どもが80人乗っていたそうです。今日の朝日新聞にはその子どもの持ち物であろうぬいぐるみの写真が載っていました。辛いです。

イスラエルはもっと悪質です。マレーシア航空はおそらく誤射によって撃墜されたのでしょうが、イスラエル軍は一般市民が巻き添えになるのを承知の上でガザを攻撃しています。すでにガザでは520人以上が死亡しており、その中には多数の子どもたちが含まれています。先週は、海岸でサッカー遊びをしていた子どもたちが艦砲射撃を受け、4人が亡くなりました。まさしく、イスラエルがやっていることは虐殺です。ちなみに、私は「自画自賛史観」の持ち主たちが教科書を「自虐的」だと攻撃しているのには全く同意できませんが、日本軍がアジアを攻撃したときは「侵略」で、他国の場合には「進出」「侵攻」と使い分けているのには違和感を覚えます。これはテレビや新聞も同様です。イスラエルについても「ガザ侵攻」と報道しています。「侵略」の定義ははっきりしています。であれば、すべて「侵略」と表記すべきです。話がずれました。イスラエル政府は内心、マレーシア航空の事件を喜んでいるかもしれません。世界の目がそちらに向いているからです。ますます一般市民の犠牲が増えます。特に、子どもたちの犠牲は許せません。

新潮45さて、「新潮45」という雑誌は新潮社から出ているだけあって、もちろん右派雑誌なのですが、安倍政権とその取り巻きたちには一貫して批判的です。「偽物の保守」だと考えているからでしょう。で、たまたま8月号を買ってみました。三橋貴明・中野信子・適菜収の「安倍晋三は『偽装保守』である」という鼎談を読もうと思ったのですが、むしろ「天皇陛下の沖縄への思いを我々はどれだけ理解しているか」という記事が出色でした。書いたのは日経新聞の編集委員・井上亮氏です。明仁天皇の沖縄への思いを、特に対馬丸の沈没事件を中心に描いています。

私自身、対馬丸のことは詳しいことを分かっていませんでした。子どもが死ぬ話を読みたくなかったので。でも、この記事でいろいろ知ってしまいました。対馬丸は他の2隻の貨物船と2隻の護衛艦と一緒に船団を組んでいたのに、対馬丸が沈没したとき、他の船は海上に浮かんでいる生存者を救助しようとしかったこと。対馬丸での疎開は、一般市民の安全を図ることが目的ではなく、軍の作戦の足手まといになる一般市民を退去させるよう、県知事に打電して行われたこと。当時既に制海権を米軍に握られ、アメリカの潜水艦が日本の船を沈めまくっていたので、船で疎開することになかなか市民が応じようとしなかったため、集団移動させやすい国民学校の児童の疎開を優先させたこと。奇跡的に助かった人たちは憲兵の監視下に置かれ、船が沈んだことは絶対に口外するな、と脅されたこと。

天皇は皇太子時代も含め、10回も沖縄を訪れているそうです。今年はその10回目でした。対馬丸の事件の70周年だからです。高齢にもかかわらず1泊2日の強行日程でした。記事では、天皇がずっと沖縄のことを気にかけ、毎年の「お言葉」の中でもたびたび沖縄のことに触れ、国民が沖縄の歴史に思いを致す必要を訴えていることを紹介しています。驚いたのは、天皇が琉歌を詠むこと。独学で学び、20首以上作っているそうです。その1首。

花よおしやげゆん/人知らぬ魂/戦ないらぬ世よ肝に願て(花をささげます、人知れぬ御霊に/戦のない世を心から願って)

天皇の思いが凝縮されています。ちなみに、この記事には「陛下」という言葉以外、ほとんど敬語が使われていません。でも、天皇に対する深い敬愛の思いが確と伝わってきます。

蛇足ながら、過剰な敬語を使っていても天皇の憲法と平和を大切に想う気持ちをないがしろにしている記事や書物が何と多いことか…。

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