書記長日記

学校文化を変えなくては!

p102030711月19日(土)、新川支部教研が魚津市で開催され40名が集まった。講師は、筑波大学名誉教授で元茨城県美浦村教育長の門脇厚司氏。門脇氏は2年前の「県民におくる夕べ」でも講演を行った方だ。

90分間にも亘る長時間の講演だったのだが、私は、今後の高教組活動の指針を得た感があった。

私たち教職員には、いま、長時間過密労働でストレスを溜め、メンタル不全に陥る者が多数出ている。なぜ、このような状況になったのかの原因を、門脇氏は「近代公教育の本質」に見出す。近代公教育の本質とは「選別と配分」。つまり、競争によって優れた者と劣った者を「選別」し、それぞれに適した進路へと「配分」することだ。その目的は、産業社会の経済的発展のためである。その結果、「自己責任」の名のもとに「利己的な、自分さえ良ければよい」という価値観が学校に蔓延する。氏は、「このような中で、学校は極めて不自然な事を、無理を重ねて行ってきた」と指摘する。

さらに、氏は、その解消のためには、教育の目標を転換する必要があると説く。それは、「互恵的協働的社会づくり」、つまり、「常に他者への配慮を持ち、他者と共に働き生きる事を常に自覚する社会づくり」である。「経済発展」と「競争」に替わり、「他者への配慮」と「共同」を最優先する社会を実現させるために教育はその活動を行わなくてはならないーと私は感じ取った。その実現のためには、現在の学校文化の本質的な転換を行わなくてはならないだろう。

そのために組合は何をすべきか?

執行部が活動提起を行う以前に「個々の教職員が抱える悩みや困りごとを丹念に拾い上げ、集約すること」が肝要だと門脇氏は述べる。これは極めて重要な指摘だ。このような活動が高教組運動の大きな基盤になくてはならぬ。そして、「このような地道な活動を踏まえて、文科省の教育政策や教育行政の問題点を鋭く突く運動を展開すること」が必要だと氏は説く。

私は、この講演を聴いて、一種の覚醒感を抱いた。「現在の学校文化の問題点」と一口で言っても、その内容は極めて多様である。しかし、まずは組合員の悩みを集め、勉強も重ねて、問題点を分かりやすく共感的に分析する作業が必要だ。また、「教育は何を目指すべきか」という新たなビジョンを説得的に丁寧に作り上げなくてはならない。

だが、このような膨大な作業に対して、いまの私は「やる気になった」のである。私のあと僅かの組合での日々を、この作業に注ぎたいと決意した支部教研であった。準備した新川支部役員の皆さんに、改めて心から感謝したい。

 

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