10月11日(水)に、富山県保険医協会(よりよい医療をめざす医師・歯科医師の団体)の江川紹子(ジャーナリスト)講演会に参加してきました。「私の取材ノートから読み解く この国のかたち~混迷の時代に生きる、命と人権の重さ~」と題した約80分の講演は、多様な情報の例示の仕方、事実を再構築して話され、大いに刺激を受けました。80分の講演も短く感じ、「この講演を無料で聴けるなんて、ラッキー!」と思えるものでした。
講演で特に印象に残ったのは、現在の選挙戦の情勢の中で、「どの政党も『改革』を訴えているが、マスメディアによって『改革=いいこと』という情報操作が行われている」という指摘でした。なるほど、確かに自分も「改革=いいこと」と思い込んでいる面があると思いました。その思い込みは、「内容を吟味、検討しなくなる」と江川さんは述べます。そして、「郵政民営化」「司法制度改革」「選挙制度改革」などを例に挙げ、「『改革』が結果的にいいことにつながっているのか」と疑問を投げかけました。江川さんの語り口は穏やかで分かりやすく、自分の主張を押しつけるような感じもないのですが、聴いていて「なるほど。納得できる」と思えるものでした。自分も江川さんのように話ができたらなぁ。
また、最近のマスメディアは「面倒・批判を避ける傾向」があり、その雰囲気は日本中に蔓延しているとも指摘。「後手に回った」という批判よりも「過剰反応」という批判の方がまだマシという状況についても言及されました。確かに学校現場でも同じような雰囲気があるような気がしました。過剰反応による学校多忙化もあるのではないかな、という気がしました。
江川さんは「想像力の欠落」についても話されました。イラク戦争の際に日本人3人が人質になったことがありましたが、その際に「自己責任」というフレーズが一般受けしました。江川さんの周囲には「うちの子は、あんな危険なイラクには行かない」と話した人がいたそうです。だから、「人質になったその人が悪い。自己責任だ」とでも言いたげな感じに、江川さんは「なぜうちの子だったら・・・」と考えられないのだろうと思われたそうです。その時に、人質になった両親に寄り添った言葉を述べたのが、北朝鮮拉致被害者の横田さんだったそうです。「自ら危険なイラクに赴き、人質になった」と「北朝鮮にある日突然拉致された」では立場は異なりますが、それでも横田さんは「うちの子だったら・・・」という思いからの言葉を話されたと言います。自分も「うちの子だったら・・・」「自分だったら・・・」という想像力は大切にしたいと感じました。
とまぁ、いろいろと勉強になったわけです。
私の取材ノートから読み解く この国のかたち
~混迷の時代を生きる、命と人権の重さ~