富山高教組のおすすめ

「労働法・労働組合を学ぶ」ための教育実践書

 

『学校で労働法・労働組合を学ぶ ~ブラック企業に負けない!~』

(きょういくネット 桐書房)

ブラック企業に負けない労働法制・・ 若者が、労働の現場において不当な扱われ方をしたときに、自分たちの身を守るための実践的で有効な知識や考え方、姿勢やノウハウを在学中からできるだけ伝えておこうとする動きが、今、少しずつ生まれてきています。本書は、すでに一部の職場で実施されている取り組みが、より多くの教育現場に広がってゆくことを目指して、教育と労働と若者の現実をよく知る方々によって作られた本となっています。多くの若者が最初に経験する労働であるアルバイトやその雇用契約書を題材にした授業、労働安全衛生法規、団体交渉のロールプレイなど、労働の場でくじけずに生きて行くためのヒントが豊富に盛り込まれています。授業のすすめ方やワークシートがそのまま使えて便利な教材本となっています。また、労働法制に精通していない教師たちにとっても、生徒とともに学べる有益な書と言えます。

 

内容を紹介します。

1章 「ブラック企業に負けない力」を育てる授業:角谷信一さん

 ・クイズに挑戦!働くルールの授業  ・アルバイト体験アンケート ・「働くルール」を学ぶワークシート  ・「フツーの仕事がしたい」を見て記述してください   ・「ブッラク企業大賞」を選ぼうワークシート   など

2章 アルバイトの雇用契約書をもらってみる授業:井沼淳一郎さん

 ・「四つのスキル」を鍛えるウオームングアップの授業 ・アルバイトの雇用契約書をもらってみる  ・高校生のアルバイトのリアル  など

3章 労働安全衛生法規を学ぶ:笹山尚人さん

 ・労働安全衛生(労安)に関する知識がなぜ必要なのか ・法規はどのようなもの  ・法規の仕組み   ・危険から身を守る知識の教育を  など

4章 マサオのたたかい ~はたらくことと労働組合~:首藤広道さん・中嶌聡さん

 ・2年現代社会「”はたらく”を学ぶ」のまとめとして ・シナリオ「マサオのたたかい~はたらくことと労働組合~」  

 ・「変える」を実現する労働法教育を ・労働法教育のきっかけ ・労働法教育で伝える三つのこと ・労働法教育の二つの主な課題 ・今後の労働法教育のために「変える」の体験を  など 

5章 団結剣の学習 ~若者と労働組合が出会うとき~:川村雅則さん

 ・労働者からの聞き取り調査、現場訪問 ・学生自身による学生アルバイト調査活動 ・「団結剣」講座 ・若者と労働組合が出会うとき(意義と可能性)  など

 

就活に関する次のような報道(朝日新聞 2016.3.2)にも注目したい

 来春卒業する学生の就職活動が3月1日、正式にスタートしています。今年も学生にとって就職しやすい売り手市場で、企業側は早く良い人材を確保しようと動き、競争が激化する中、実態と異なる「好待遇」で誘う「ブラック求人」もまぎれており、学生は注意が必要だ。

 ここ数年目立つのが「ブラック求人」の被害だ。うそやあいまいな表現で実際と違う好条件を示して入社させようとする。厚生労働省によると2014年度に求人の記載内容についてハローワークに寄せられた苦情などは1万2千件。全年度より3割増で、実際の賃金が違うといった苦情が多いという。

 若者の雇用問題に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表はこの1、2年で『求人詐欺』が増えた。ブラック企業とまではいえない普通の企業でもでたらめを書くのが特徴。入社後に気づいても我慢するケースが多い」と話す。特に「固定残業代」をめぐる相談が増加。例えば「月額20万円」の場合、基本給15万円と営業手当5万円が払われたが、時間に見あった残業代が支払われない。ほかにも、週休2日なのに休みがほとんどない。社会保険完備なのに加入できない。そもそも仕事内容が違う・・といったケースがある。

 「ブラック求人」の取り締まりが、1日から強化されている。青少年雇用促進法により、企業は新卒者らに求められたら、就職者数、平均勤続年数、残業時間などの情報を出す義務を負う。ハローワークは、違法な長時間労働やマタハラで社名が公表されたりした企業の新卒向け求人を一定期間受けつけないことができる。

就職ナビ会社、「掲載基準」で点検

 厚労省によると、新卒向け求人の8割が民間や大学を通じたものだ。就職ナビ会社や大学のキャリアセンターは、どう点検するのか。

 リクナビを展開するリクルートキャリアは「掲載基準を設けている。最下限の固定給の表示を求め、手当を含むのかなど確認している」(広報)。マイナビも「企業に申告内容に間違いがないか確認書の提出を求め、行政処分や学生の苦情があれば掲載見直しを含めて検討する」(同)

 都内の私立大学のキャリアセンターの担当者は「細かくチェックしきれないし、入社後の待遇を大学では把握しきれない」別の大学の担当者は「企業の担当者がうさんくさかったら掲載は断る。でも、見抜くのにも限界があり、いつも少し怖いと思っている」と打ち明ける。

 弁護士らと「ブラック企業対策プロジェクト」に取り組む法政大の上西充子教授は「学生は求人内容を熟読し、自分に不利にならないよう工夫しながら企業に情報を求める。キャリアセンターも新制度を活用する。それが、企業がうそをつかずに情報を出す流れにつながる」と話す。

 

学生はどこに気をつければいい?

1、労働条件をしっかり把握して契約を結ぶ。求人内容と異なれば安易に契約しない。

2、「定額払い割り増し手当を含む」など、よく分からない言葉があれば確認する。

3、ナビサイトだけでなく、企業の採用ページでも求人内容を確認し、印字して保存する。

4、おかしいと思ったら採用担当者に確認を、難しければ、大学のキャリアセンターや専門家に相談を。

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