富山高教組のおすすめ

だから絵本は面白い

愛についての ちいさな おはなし 今月とりあげる絵本は、マリット・テーンクヴィスト作、野坂悦子訳の『愛についての ちいさな おはなし』です。絵本のカバーには、「1996年オランダ・銀の石筆賞を受賞した愛する心を繊細に描く絵本」と書いてあります。

 

 カバーに“愛する心を繊細に”とあるので、「どんなふうに愛する心を繊細に描いているのだろう」と興味をもって読み進めました。

 絵本の最初は「女の子は、いつも 海のうえに すわっていた。昼も、夜も、天気が どんなに悪くても。」という文章から始まります。あらすじです。一人の女の子が登場します。名前は分かりません。どこから来たのかも分かりません。女の子は杭にすわって海を眺めています。女の子の目の前をさまざまな船が通り過ぎます。そんな中、ある日若者の船が女の子に近づき…、この後は実際に読んでください。愛についての ちいさな おはなし 2

 

 この女の子の解釈をめぐって、私は書記の渋谷さんと熱い議論を交わしました。私は、「女の子は生徒で、その女の子の前を通り過ぎる船が、社会であり、大人であり、教師」という捉え方で熱弁をふるいましたが、渋谷さんは、「女の子は、学校の先生だ」と捉えます。理由を聞けば、「なるほど…。そんな捉え方もあるか」と思わず感心しました。一つの絵本ですが、さまざまな捉え方ができる。唯一正しい答えや解釈があるわけではなく、読み手の感性によって、絵本からのメッセージも異なる。それをお互い共有できる場や人がいることが「面白いなぁ。尊いなぁ」と、とある午後の書記局内で思ったのでした。

 

 高校生が読んだら、どんな解釈をするのだろう?高校現場に戻ったら、ぜひ生徒に読ませてみよう。

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