今月とりあげるのは、レイフ・クリスチャンソン文、にもんじまさあき訳、ディック・ステンベリ絵の『わたしのせいじゃない -せきにんについて-』(岩崎書店)です。
シリアスな内容(いじめ)を扱ったこの作品は、2~3分もあれば読めてしまう絵本ですが、感情が揺さぶられる作品です。「いじめ」「傍観者」「責任」「戦い」「涙」…、さまざまなキーワードが、胸に突き刺さります。
驚いたのは、この絵本の作者がスウェーデン生まれの元社会科教師だということ。スウェーデンといえば、北欧の国で「学力が高い」というイメージがあり、「教育がうまくいっている国」「いじめとは無縁なのでは…」と思っていました。ところが、この作品の存在は、「いじめ」が世界中にあることを教えてくれました(当たり前か…)。また作品では、いじめの責任のなすりあいが描かれていますが、これもまた日本の状況と同じだと感じさせてくれます。後半では写真が数枚載っていますが、思わず「う~ん」と唸るほど、いろいろな思いを抱かされます。
「きっと、社会科教師の経験から、子どもたちに考えさせたい教材として作った作品なのだろうな。」と思わせる、そんな作品です。
これを使わない手はありません。高校生が読むに値する絵本だと思います。この絵本をグループで読み、感じたことを話し合わせる活動は、やってみて損はないと思います。これもまた一つのアクティブラーニングではないでしょうか?