書記長日記

裁判員裁判の現状に驚き

こんにちは、TKDです。

今日は県民に送る夕べの参加者報告締め切り日でした。各職場から断続的に報告が届きました。お忙しい中、締め切りを守っていただきありがたいです。ただ、2日の高岡文化ホールは高教研と重なり厳しそうです。高岡地区・砺波地区の人たちが富山市に集まっていますからね。やむをえないです。でも、高教研の午後の部を休んで夕べに参加するという手も。というのは、高教研に属していない者の勝手な言い草でしょうか?

joさて、2日前の土曜日は会議のために東京に日帰りしました。帰りに八重洲ブックセンターでjournalismの9月号を買ってきました。今月号の特集は「時代を読み解く珠玉の200冊」。各界の有識者がお薦めの10冊、または3冊を選んでいます。私は森達也さんが何を推薦しているかなと思って買ったのですが、一番おもしろそうな(あくまで今の私にとって)本を推薦しているのはジャーナリストの青木理さんでした。その10冊を並べますね。

半田滋『日本は戦争をするのか 集団的自衛権と自衛隊』(岩波新書)、柳澤協二『亡国の安保主義 安倍政権と「積極的平和主義」の罠』(岩波書店)、明日の自由を守る若手弁護士の会『これでわかった! 超訳 特定秘密保護法』(岩波書店)、ルーク・ハーディング『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』(日経BP社)、松島泰勝『琉球独立への道 植民地主義に抗う琉球ナショナリズム』(法律文化社)、國場幸之助『われ、沖縄の架け橋たらん』(K&Kプレス)、高田昌幸『真実 新聞が警察に跪いた日』(角川文庫)、瀬木比呂志『絶望の裁判所』(講談社現代新書)、井出孫六『抵抗の新聞人 桐生悠々』(岩波新書)、斎藤茂男『事実が「私」を鍛える』(太郎次郎社)、以上です。

いかにも私好みです。少しずつ読んでいこうと思います。

でも、この雑誌で私が一番おもしろかったのは、特集ではなく、別の記事です。「検察は対象事件を慎重に起訴 裁判員候補者の辞退率、60%超える」という裁判員制度開始から5年経っての現状を分析した記事です。筆者は竹田昌弘さん。共同通信社報道基盤戦略室次長兼編集局編集員という肩書きを持っています。で、1961年富山県生まれです。なかなか衝撃的な数字が並べられます。

まず、事件の起訴率(起訴された人/起訴または不起訴の刑事処分を決め容疑者)です。殺人罪では06年の57.0%から12年の31.5%に下がっています。代表例として、10年に富山市で夫婦が殺され放火された事件で容疑者の県警警部補が不起訴になったことがあげられています。強盗致傷罪などの他の凶悪犯罪も同様です。また、逮捕容疑は裁判員裁判の罪名なのに起訴は対象外の軽い罪名になる「罪名落ち」も増えています。つまり、検察が起訴に当たって慎重になっているのです。裁判員裁判の有罪率は99.5%。一方、06年から08年にかけて同様の事件での裁判官のみによる裁判の有罪率は99.4%。裁判員裁判の方が有罪率が高いのですが、これは検察が起訴を慎重にしているからとも言えます。私は日本の裁判員制度には批判的な立場ですが、それでも従来の裁判を見直させる効果はあったようです。

ただ、問題なのは裁判員候補者の辞退率のアップです。09年が53.1%なのが、13年には63.3%にまで上がっています。14年は5月までの数字ですが64.6%です。これによって裁判員に偏りが生じることは推測できると思います。実際、裁判員の男女比は54.8%:43.0%。職業でも勤め人の割合が高くなっています(55.3%)。筆者は、多様な視点からの討議が重要だとして、多様性の少ない集団はより報道などの影響を受けやすいことを指摘し、冷静な事件報道が重要だと論じています。

▲ このページの先頭にもどる

© 2014 - 2024 富山県高等学校教職員組合