書記長日記

「マルティン・ベック」シリーズ

こんにちは、TKDです。

今日は一番西にある高校に高校に分会訪問に行き、その後、高岡地区のスポーツ大会に顔を出しました。毎年盛り上がるボウリング大会です。支部の事務局長が分会から1人だけの参加だったので一緒にチームを組んでプレイさせてもらいました。久しぶりに大崩れせず、なんとか自分なりに満足のいくスコアを残せました。そんなことはどうでもよく、若い人から年配の方まで大勢が参加して盛り上がったのが何よりです。すべては支部役員の方々と、職場でチームをまとめてくださった分会役員の方々のおかげです。ありがとうございました。

ノーベル平和賞の行方が注目されていましたが、日本国憲法第九条は残念ながら受賞を逃しました。物理学賞が日本人だったので厳しいかなあと思っていたのですが、案の定でした。もちろん、物理学賞を受賞された3人はすばらしいし、マララさんの平和賞受賞も嬉しいことです。九条は、言い夢を見させてもらったと思い、来年また期待することにします。

roseanna

 さて、昨日は刑事マルティン・ベックシリーズ『ロセアンナ』(角川文庫)を読了しました。私が学生時代に(つまり30年前)愛読していたシリーズで、スウェーデン警察の刑事たちの活躍を描いています。全10作で、高見浩さんの訳で日本に紹介されました。第4作の『笑う警官』は警察小説の最高峰に位置づけられています。30年前に読んだにもかかわらず、脇役の刑事たちの名前、コリベリやラーソンなどもキャラと共にしっかり覚えています。それくらい登場人物の生き生きと描かれていたのです。そのシリーズの新訳が同じ角川文庫から出ました。旧訳が英語版から翻訳されたのに対し、新訳はスウェーデン語から直接翻訳されています。昨年9月に最高傑作の『笑う警官』が出版され、その後は第1作の『ロセアンナ』から順番に出る予定で、1年後にその『ロセアンナ』が出版されたのです。待ちかねていました。どうやら1年に1作のペースのようですね。このシリーズの魅力は登場する刑事たちの人間味と、批判的に社会を見つめる作者の視線です。作者は、マイ・シューヴァルとペール・ヴァールー。結婚はせずに共同生活を送るパートナーでした(既にペールは死去)。マイは今も健在で、2009年のインタビューで以下のように話しています。

市場原理が世界を支配し、人間が消費者としか見られない社会は、予想以上に早く到来してしまった。社会に警鐘を鳴らすつもりで書いた“マルティン・ベック”のシリーズも、そういう意味では力が及ばなかったかもしれない。しかし、読者は私達のメッセージを受けとめ、社会を変えようとする気持ちを共有してくれている。大事なのは、そのことだと思う

この作者の言葉からもわかるとおり、シリーズの価値は21世紀になっても全く衰えていません。ただ残念なのは、翻訳のミス(ではないかと思います)。マルティン・ベックと所轄の捜査官アールベリが一緒に捜査している場面で、アールベリのことが2度「コルベリ」と書かれています。ちなみに、旧訳では「アールベリ」になっています。誰もが気が付くミスなので、もしかしたら原作がそうなっていて(すなわち、作者のミス)、訳者はあえて忠実に訳したのかもしれません。今、出版社に確認しているところです。ともあれ、毎秋の楽しみができました。

今回、読んでみて気が付いたのは警察の尋問方法です。1964年のスウェーデンが舞台なのですが、既に尋問中は録音をしています。全てを録音するわけではなく警察に都合のいい部分を録音するので問題ですが、調書も質問と容疑者の回答をそのまま残します。それに比べて日本の警察は今でも警察が文書でまとめたものに容疑者にサインをさせるやり方。警察や検察がストーリーを描いて、長期間の拘留と尋問に疲れ果てた容疑者が中身に納得しなくてもサインしてしまうという、冤罪の温床になっています。必要なのは、全面録音・可視化です。

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