書記長日記

戦略爆撃の思想

こんにちは、TKDです。

今日の午後は厚労省の委託事業であるパワハラ対策セミナーに行ってきました。企業の総務担当者が30人ほど集まっていました。ブラック企業が問題になっている一方で、ハラスメント対策に乗り出している企業もちゃんとあるんですね。あらためて、相談窓口や解決機関の必要性、アンケート調査の効果などを認識しました。県教委はできれば年内にパワハラ防止マニュアルを完成させたいと言っています。年明けの職員会議で校長がしっかり職員に伝えることを期待しています。説明した以上、まさかその自分がパワハラをしでかすわけにはいかないし、相談された時にあしらうわけにもいきませんから。

さて、昨日は執行委員会が6時近くまで長引き(執行委員の皆さん、すみません)、あわてて安保廃棄実行委員会主催の講演会に駆けつけました。軍事ジャーナリストの前田哲男さんの講演です。集団的自衛権について、概念そのものは遙か昔から「攻守同盟」すなわち軍事同盟としてあったこと、第2次大戦後この言葉が使われ始めたが大国が小国を攻撃する口実に使われていたこと(ベトナム戦争とか)、安倍首相は閣議決定で世論が反発したため、今国会では法案を提出せず、日米ガイドラインでアメリカとの公約を先行させる考えだということ、来年度予算を通過させた後いっきに関連法案を提出するつもりであること、など今後の見通しが語られました。驚いたのは、ヨーロッパ各国が軍縮を勧めていること。ドイツ、フランス、イギリスの軍隊はいつのまにか自衛隊よりも小規模になっています。陸軍で比較すると、ドイツは6万2500人、フランスは11万9050人、イギリスは9万6600人(英国戦略研究所「ミリタリー・バランス」2014年度版より)。それに比べ、陸上自衛隊の15万人以上という数。この島国でどうして必要でしょう。実際、東日本大震災で11万人が半年間救助活動していても問題は起きなかった、という前田さんの指摘に納得しました。

その前田哲男さんの著作である『戦略爆撃の思想』(凱風社)を、講演前に読み切りました。読みたいと思いながら分厚さに手を出せず、書棚に並べたままになっていたのです。今回の講演を機に一念発起し(大げさですね)、読むことができました。この本の帯が端的に本質を表しています。

殺す相手を視認せず垂直包囲して都市の破壊を企図する空からのテロル

重慶で日本軍が確立し広島でアメリカが核の破壊力と結びつけた軍事思想は世紀を越えてなお市民を殺戮しがれきの山を築いている

戦略そう、ゲルニカでナチスの爆撃機が行った殺戮は、広島・長崎への原爆投下という究極の形に現れるのですが、しかし、「戦略爆撃」という無差別爆撃を確立したのは日本なのです。重慶爆撃は知識としてして知っていたのですが、この本を読んで、ここまで長期間(3年間に何十回もの爆撃)、執拗に1つの都市を爆撃し、市民を殺戮し続けたことに愕然としました。これは一方的ななぶり殺しです。そして、欧米の記者らによって世界に知られ対日感情を悪化させ、孤立に進む。そして、その事実が、ヨーロッパ戦線では戦略爆撃を行わずに精密爆撃にこだわった米軍が、(人種差別があるとはいえ)日本には迷うことなく無差別爆撃を行うことにつながるのです。

戦略爆撃は、ABC兵器の使用と同様にタブーとされるべき軍事行動であるにもかかわらず、日本やナチスドイツだけでなくイギリス(ドイツの各都市を無差別爆撃)やアメリカも大規模に行ったことで、問題として取り上げられることなく、その後も多くの犠牲を伴いながら続けられています。イスラエルのガザ爆撃のように。

今日のニュースでは、日米ガイドラインの中間報告が報道されていました。さて、中身は?

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