書記長日記

自爆営業

こんにちは、TKDです。

書記局は13日からお盆休み。日曜まで5連休です。学校にはお盆休みはありません。平日なら必ず誰かが出てきています。現場の方々、申し訳ありません。休ませてもらっています。ただ、「教育のつどい」が今日から香川で開かれているため、副委員長を始め参加者はそちらに行っておられます。お疲れ様です。楽しい2泊3日をお過ごしください。

昨日は妻の実家に行っていましたが(市内)、ちょっと盛り上がったのが「豆タンク」という言葉。50代以上の人は、「豆タンクのような体型」と言ったら分かりますよね。どうやら「死語」になりつつあるようです。大阪桐蔭高校出身で今年西武に入団した森友哉選手がホームランを打ったことを話題にしたとき、「豆タンクのような体型で」と言ったら、30代後半の妻とその1歳上の姉は分かりませんでした。まず「タンク」が戦車を表すことを知りません。そしたらイメージできませんよね。ネットで調べると、「現在は用いられない」とか、「死語」だとか書かれています。ショックです。

自爆営業さて、この5連休中に本を読もうと思いながらなかなか進みません。ダラダラモードです。夏季学習会に来ていただいた小池由美子さん編集の「新しい高校教育をつくる」が読みかけだったのを読み切ったのと、同じく夏季学習会に来ていただいた竹信三恵子さんの文章が載っていると前回の書き込みで紹介したPOSSEの最新号を読み切ったぐらいで、まとまった1冊を読んでいませんでした。で、昨日から今朝にかけてようやく樫田秀樹『自爆営業ーその恐るべき実態と対策』(ポプラ新書)を読み切りました。「自爆営業」とは、会社からノルマを課せられた商品を売りさばけずに自腹で買い取ることを言います。郵便局の年賀状販売などで使われていた用語で、民営化される前から局員に対するノルマは聞いていたのですが、2003年に公社化されてひどくなり、さらに2007年に民営化されてますますひどくなったようです。昨年には朝日新聞でも取り上げられました。非正規職員でも数千枚のノルマを課せられ、到底売り切れないので金券ショップで換金するという話です(当然差額分は自腹)。こんな非道なことが大企業で行われているのかと憤ったものですが、1冊の本になったので買ったのです。

本を読むと、すさまじい実態が分かります。正規で1万枚、非正規で7000枚のノルマが課せられる支店があります。売れるわけがないにもかかわらず拒否できない。非正規は正規採用へのためのスキル評価で低評価になるのを恐れ、正規社員も人事考課で低評価になるのを恐れるからです。樫田さんは、自爆営業がおきるような職場は他のさまざまな問題も起きていると指摘します。日本郵便であれば、正規から非正規への置き換えと人員削減、長時間労働とサービス残業、交通事故、過労うつや過労自殺…まさしくブラック企業です。日本郵政では「残業をするな」と言われます。しかし、仕事は終わりません。タイムカードは定時退勤の時刻に押し、そのまま残って仕事をします。

日本郵政以外にも「自爆営業」を課している会社を紹介しながら、著者は対抗策として労働組合の働きを強調します。実際、日本郵政の中の少数組合である郵政産業労働者ユニオンの組合員は自爆営業をしていません。約42万人の労働者のうち2000人しか組織していない組合です。それでも「闘う組合」は力があるのです。また、この本の素晴らしさの一つは、自爆営業を課す企業が「社員の幸福」ということを全く考えないと指摘した上で、対極にある「社員の幸福を考える」企業を紹介しているところです。その中の1つが、ランドセルの製造で業界2位の株式会社協和です。不況下でもリストラはせず、社長の口癖は「社員をクビにするなら会社をやめる」。基本的に正社員採用。経営理念は、

1.会社は、従業員の幸福度を高めることが第一目的。

2.消費者の立場に立って安定価格で提供する。

3.仕入先とは、公正かつ対等な条件でお取引する。

です。私が感動したのは、障がい児のためのランドセル作りです。

障がいの種類や程度によって一人ひとりに合うランドセル作りが必要で、すべてオーダーメイド。正直、手間がかかる。だが、驚いたことに値段は量販品と同じか、それよりも安いという。経営理念「二」の実践である。

こんな会社を応援したいです。これからランドセルを買う人は、協和の製品を買ってください。著者は、自爆営業なしでの経営が可能である証拠として、これら社員を幸せにする会社を紹介し、自爆営業を課すような会社は経営失敗である、と言い切ります。その通りですよね。

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