書記長日記

国家が行うべきこと

こんにちは、TKDです。

テニスの全米選手権で錦織選手が決勝進出を決めました。あの小さい体で、自分よりはるかに大きな選手に勝つのは大変なことです。メンタルの強化が活きているんでしょう。決勝が楽しみです。

先日紹介したマンガ、『健康で文化的な最低限度の生活』が今日の朝日新聞に書評欄で取り上げられていました。私はかなり厳しいことを書きましたが、2年間取材した上で書いているんですね。かなり高く評価していました。例えば、「福祉事務所の面々の本音や硬軟差のある対応の違いなど、支給する側も様々な価値観を持っていることを描く。個にフォーカスすることで幾らでもドラマチックになるテーマにおいて、俯瞰の視点を持ち込んだ本作に、著者の『難しいことは承知の上で、事の本質に届きたい』という意思が感じられた気がした」とか、「“無縁社会”と言われる現代に必読の一冊」とか。う~ん、私が「水際作戦」が描かれていないことにこだわりすぎなのでしょうか。まあ、これからを期待しましょう。

百年法さて、一昨日の晩から昨日の晩にかけて、読みたいと思いながら放置していた小説を読みました。山田宗樹『百年法』(角川書店)です。上下2巻の長編な上に、人類が不老不死の治療を受ける代わりに、治療の100年後に死ななければ行けない通称「百年法」が定められるという話で、ちょっと重いかなと思って手を出せずにいたのです。読みたい本は(買ったからには読まなくてはいけない本は)他にもありますし。でも、ついに一昨日、手をつけました。ほぼ一気読みでした。やはり評判どおりメチャクチャおもしろかったです。いろいろ書きたいことはありますが、ネタバレになるのでやめときます。主人公(らしき人物)の考え方や、彼が取った政策については、私は賛成しかねます。また、それはありえんだろうという展開もあります(結構)。でも、力業で持って行くところが、作者の腕ですね。ラスト近く、印象に残った言葉がありました。

国力がいかに衰退しても、電気・通信・水道・道路・鉄道網のメンテナンスだけは怠ってはいけない。ライフラインと物流は、国を動かす両輪である。この二つが機能するかぎり、国が死ぬことはない。宗教や思想、主義、哲学、生き甲斐、人生観、価値観、そういった精神的なものは、、国民一人一人に任せておけばよい。国政を預かる者の責務は、国民が人間らしい生活を営むための物理的基盤を整えることに尽きる。なぜなら、それができるのは国家だけだからだ。最終的に目的が達成されるのであれば、そのプロセスにおいて、どのような悪評も恐れてはならない。

最後の部分が気になりますが(やはりプロセスは大事です)、でもそれ以外は首肯できるのではないでしょうか。特に、教育に置き換えるとよく分かります。教育条件整備はなおざりにして、主義や価値観を押しつける政治家のなんと多いことか。

▲ このページの先頭にもどる

© 2014 - 2024 富山県高等学校教職員組合