先週、大学時代の友人から著書が送られてきた。
『私釈親鸞』伊藤益著、北樹出版、2015年、2000円+税
品の良い装丁の好著である。
内容は、筑波大学で「日本倫理思想史」と題した講座での著者の講義内容をまとめたもの。中心テーマは親鸞思想の解釈であるが、浄土教思想史も極めて分かりやすく記されている。また、終章は「親鸞と現代」と題されている。この章の設定理由を著者は、「親鸞思想は、親鸞以後の思想史の中でどのような意義を担いうるのか、それを現代の視点から問わないかぎり、この講義の最終的な目的が果たされたとはいえません」(同書、190頁)と述べている。古い思想が、この現代に於いて如何なる意味を持つかを著者は問うている。思想を学ぶ者にとっては、このような態度こそが必要だと私は思う。
本書は伊藤氏の14冊目の著作となる。頑張ってきたものだ。氏の処女作である『ことばと時間ー古代日本人の思想ー』(大和書房、1990年)は、日本倫理学会の有望な若手に与えられる和辻賞受賞作である。あれから25年、著者は幾多の病と闘いながら、自らの思想を打ち立ててきた。誠に立派だ。
私も、大学の頃は、仏教やインド思想を学んでいた。60歳に手が届きそうないま、その学びの「蓄積」はあるのだろうか。う~ん、何とも言えないところだなあ。
しかし、何歳になっても「学び」は大切だ。友に倣って、私も学びを深めよう。何と言っても、いまは「学問の秋」なのだから。