今回の参院選の結果は残念だった。しかし、諦めることなく「ここからがスタートだ」と思って、とりくみを進めたい。
さて、先週末に執行委員学習会を行った。その際、私は「2015年12月中教審答申『これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について』批判」というテーマで80分間「授業」を行った。
この答申は、かなり危険である。インターネットから本文や要約版をゲット出来るので心ある方はそれを読んで頂きたい。
ここでは、大きな問題を1つだけ指摘する。答申には以下のように記されている。
「国は、教育委員会と大学等が相互に論議し、養成や研修の内容を調整するための制度として「教員育成協議会」(仮称)を創設する。当該協議会においては、教育委員会と大学その他の関係者が教員の育成ビジョンを共有するため教員育成指標(後述)を協議し共有する。(中略)「教員育成協議会」(仮称)は、おおむね都道府県、政令指定都市の教育委員会単位で組織する…」(45頁)
「高度専門職業人として教職キャリア全体を俯瞰しつつ、教員がキャリアステージに応じて身に付けるべき資質や能力の明確化のため、各都道府県等は教員育成指標を整備する。(中略)それぞれの学校種における教員の専門性を十分に踏まえつつ、必要に応じ学校種ごとに教員育成指標を策定することとする。各地域における教員育成指標の策定のため、国は各地域の自主性、自律性に配慮しつつ、整備のための大綱的指針を示す」(48頁)
この2箇所で述べられた「教員育成指標」とは、教員の養成段階から退職までの全ての段階で国家が教員を管理・統制する危険なモノである。このような「スタンダード」を作らせてはならぬ。
さらに、「スタンダード」を作ってしまうと、教員は既存の学校組織の一員としての役割のみを果たし、組織のあり方そのものの改革を考えようとしなくなる。このようなスタンダードの設定は、教員に「如何にして学校組織に適応するか」ばかりを考えさせ、「学校組織自体を変革しよう」という視点を教員から奪ってしまう。
学習会では、この危なさを一定、執行委員の皆さんに訴えることができたかと思う。この「日記」をお読み頂いている方々も、どうか、この答申を検討して頂きたい。