去る7月7日の本欄で谷川俊太郎の詩「ネロ」を引用した。私は、詩が好きな方である。
1992年2月に、私は唯一の私家版詩集『猫のたわごと』を発行し、その年度に私が担任したクラスの諸君に、「卒業の餞別」として配った。その年の1月の北日本新聞文芸欄に「マーちゃんへ」という私の詩が掲載され、調子に乗って発行したモノである。この詩集の表紙には「第1集」と記されているが、その後、「第2集」は出ていない。フト思い出したので、以下に掲載する。
マーちゃんへ
マーちゃん
俺は俺だよ 俺でしかない
権力へ反抗しつつも
おべっかを使う俺
冷たい言葉しかかけられぬ俺
「真面目にやれ」と言いながらも
怠惰な俺
マーちゃん
人間って何なんだ
正しさって何なんだ
やさしさって何なんだ
わかっていても
態度には出ないんだよ 俺は
「善のイデア」・・・「汝なすべし」・・・
美しい言葉だよ 憧れるよ
でも 俺は俺だよ 俺でしかない
混沌と矛盾から
何かが生まれるはずだ
マーちゃん 俺もがんばってみるよ
当時の私は35歳であった。今から思うと、何という若さ!
なぜ、こんな詩を作ったのか。そのきっかけは、もう忘れてしまった。ただ、何かイヤな事があったようだ。この詩を読んだ亡父が、「お前は苦しんでいるのだなあ」と呟いて、少し泣いたことを記憶している。
B4版の藁半紙に印刷した詩集。もう、くすんでいる。当時のクラスの生徒達は、いまは40歳をとうに越えている。
この人生はイロイロだ。詩人になりたい時もあるだろう。いつか『猫のたわごと』の「第2集」を発刊したいものだーと思う今日この頃である。