こんにちは、TKDです。
今週も高教組への加入が相次ぎ、10日余りで38人が加入しました。職場の皆さんが忙しい中で丁寧にとりくんでおられることに敬意を表します。この調子なら、4・5月の2ヶ月間で50人加入を達成しそうです。
さて、北日本新聞は県政「御用」新聞、または県政広報と化している新聞で、ジャーナリズムとは言えませんが、記者の中には感度のいい人が何人もいます。今日の朝刊では、リクルートスーツ県内事情という記事がありました。「男子も女子も真っ黒」という見出しをつけています。ここ数年の内に黒のスーツが主流となり、ほとんどの学生が黒を選ぶようです。実際、就活に限らず、先日の富山大学の入学式をニュースで報道しているのを見ても、会場は真っ黒です。う~ん、私の場合はジーンズにジャケットで入学式に臨んだのですが…。教員になりたての頃、高校入試の時に射水郡の男子中学生がみんな坊主頭なのを見て、気持ち悪さを感じたのと同じような感じを持ちました。
記事では雇う側の考えも紹介しています。県内のキャリアコンサルタント会社の社長によれば、「いろいろな企業にヒアリングしても、スーツの色を見ていないというところがほとんど」ということです。また、欧米では黒のスーツは葬式か夜のパーティでしか着られないということも紹介。「スーツの文化史」などの著書がある富山市出身のエッセイスト・中野香織さんの「日本独自に発展したガラパゴス的な存在。海外から見ると奇異に映る。グローバルに戦える人材が欲しいと言いながら、この流れは違う」「自分を押し殺しているようにしか見えません」という言葉も紹介しています。記事を書いた文化部の記者は最後に「黒いスーツが伝えるのは、学生の内面というより、現代の息苦しさなのかもしれない」とまとめています。
思い出すことがあります。4年前に姪が自転車を買うときに赤い自転車を買おうとしたら、自転車屋さんから「みんな銀色を選んでいますよ」と助言されたそうです。それを聞いて驚きましたが、私より若い妻は「銀色を選ぶのが当たり前」と言うのです。確かに中高生の乗っている自転車を見るとほとんどが銀色でした。これまた気持ち悪さを感じましたが、自分の子どもが自転車を買うときにやはり銀色を買っています。
同調圧力がますます強まっているのでしょうか。それが自己規制を強めているのでしょうか。日本の社会の生きづらさを表しています。多様さを認める、誰もが社会の中に居場所を持っている、そんな包摂的な社会になっていってほしいです。まずは、学校をそういう場所にしたいですね。
DAYS JAPANの4月号に、シリーズ「今の時代を読み解く言葉」として「自発的隷従」という言葉が取り上げられています。京都外大教授で哲学者の西谷修さんが、16世紀にフランスの若い学徒ラ・ボエシの残した言葉として紹介しています。ラ・ボエシは、「支配秩序とは、進んで支配を受け入れる者たち『自発的隷従』によって支えられているのだ」と言っているそうです。
一人の支配者は、独力でその支配を維持しているのではない。一人のまわりには何人かの追従者がおり、彼らは支配者に気に入られることで圧政に与り、その支配を固めることでその地位を確保し、かつ圧政のおこぼれで利益も得る。だからそのために圧政を利用しもする。そういう彼らの下にまたそれぞれ何人かの追従者がいて同じように振る舞い、さらにその下にはまた何人かの……、という具合に、自ら進んで隷従することで圧政を支えて利益を得る者たちの末広がりに拡大する連鎖がある。その連鎖が、たいした力もない一者の支配を支えて不動の体制を作り出すというのだ。
まさしく、この国がそうであり、この国ばかりでなく多くの国に当てはまる状況です。500年経っても変わらないですね。西谷さんはラ・ボエシの考えを紹介した後、後半で『リヴァイアサン』の口絵に、人が作る鎖の鎧を衣装にした主権者の像が描かれていることから、
「ラ・ボエシが教えているのは、その鎖の一つひとつを編み上げて権力者を強くしているのが、人々の『自発的隷従』だということだ」
「だから逆に、その一つひとつの環が自立に目覚めれば、鎧は一挙にほどけて崩れ落ち、『王様は裸』になってしまうことになる」
と言っています。