富山高教組のおすすめ

2000年間で最大の発明は何か  ジョン・ブロックマン  編

本ー最大の発明  前回に続いて、これもやや古い本だが、これには随分とお世話になった。年の始めの3学期に公民科の授業でトピックス的に本書の幾つかを紹介し、生徒たちには好評だった。

 本書は、編者が1998年にインターネットのメーリングリストで、米国や欧州の多くの著名人に標題の質問を行い、その回答を纏めたもの。108の回答が掲載されている。以下に私が気に入った5つを紹介する。

★インドーアラビア記数法(キース・デブリン、数学者)

 「インドーアラビア記数法は数学と科学で使用されるだけでなく、地球上に唯一存在する正真正銘の共通言語である」(121頁)。

★コンピュータと原爆(ダン・スペルベル、認知科学研究者)

 「コンピュータは新石器革命以来最大の変化を人間生活にもたらすであろうー原子爆弾が人間生活を全滅しないかぎり」(66~67頁)。

★消しゴム(ダグラス・ラシュコフ、作家)

 「消しゴム。そのほか、コンピュータのデリート・キー、文書の修正液、合衆国憲法の修正箇条など、われわれの犯した誤りを訂正できるしくみのすべて」(42頁)。

★教育という概念(スタニスラス・デハーネ、認知神経科学者)

 「教育というものがなければ、このアンケートで取り上げられたあらゆる発明が、わずか一世代で地球上から消失するであろう」(142頁)

★テレビ(ビビアナ・グスマン、フルート奏者)

 「どうしてだれもテレビをあげないのでしょう?あたりまえすぎるのかしら?テレビはこれまで発明されたもののなかでもっとも強力な人心操作の道具だと思います。(中略)テレビができて以来、犯罪が増加し、性が氾濫し、ライブ公演の参加者が急激に減少しました」(43頁)。

 その他、面白い回答は幾つもある。この手の本は、誠に愉快であり、授業にも有効だ。

  〈評・高木 哲也〉

草思社、2000年、1500円+税 (15年1月10日)

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