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「9条を抱きしめて」~元米海兵隊員が語る戦争と平和~

 元アメリカ海兵隊員だったアレン・ネルソンさんのドキュメンタリー番組です。日本テレビで5月4日とBS日テレで5月10日に放送されました。DVDも出されているとのこと。

 9条を抱きしめてアレン・ネルソンさんは、1947年にアメリカ・ニューヨーク州のブルックリンで生まれました。貧困生活から逃れようと、18歳で海兵隊に入隊。沖縄での訓練で、「人を殺すこと」を叩き込まれ、1966年、19歳でベトナムの最前線に派遣されました。

   戦場では、「ベトナム人は人間ではない」「何の感情も持たない野蛮な動物だ」などと叩き込まれて、毎日殺戮を繰り返すうち、感覚はマヒし、戦士ではない普通の村人を殺すことにも、何のためらいもなくなっていきます。しかし、ある日、村の豪で若いベトナム女性の出産に遭遇し、「自分もベトナム人も同じ命。母親が懸命に産んでくれた存在だ」とアレンは衝撃をうけました。アメリカに帰国してからアレンはPTSD(戦争のトラウマ)に18年間苦しみました。

「戦争はただの大量殺人。『平和のため』の戦争などあり得ない。」ことを伝えようと講演活動を始めました。アレンは、沖縄での海兵隊員の暴行事件をきっかけに来日しました。そして、英語で書かれた日本国憲法の憲法9条(戦争放棄を明記)に大きな衝撃を受けたました。アレンはこう語ります。「憲法9条は、核兵器よりも強い。アメリカにも9条があれば、どれだけ平和な世界になっただろう。憲法9条がみなさんの平和な暮らしを守ってきた。今度はみなさんが、憲法9条を守らなければならない。」と。

 彼は、日本で、1000回以上もの講演活動を行いました。全国の学校で、日本の子どもたちに、戦争の悲惨さと憲法9条の尊さを伝え続けました。日本の子どもたちと出会った彼はこう語っています。「日本の子どもたちの顔にとても素晴らしく美しくかけがえのないものがみえる。子どもたちの表情から戦争を知らないことがわかる。それこそ第9条の持つ力だ。日本の皆さんは憲法に9条があることの幸せに気づくべきだと思う。ほとんどの国の子どもたちは戦争を知っている。アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、中国、韓国の子どもたちは皆戦争を知っている。しかし、ここ日本では子どもたちは戦争を知らない。憲法9条が戦争の悲惨さ、恐怖や苦しみから日本人を救ってきたからだ。多くの政治家が憲法から第9条を消し去ろうと躍起になっている。断じてそれを許してはならない。」と。

 2009年、ベトナム戦争時に浴びた枯葉剤が原因とみられる癌で亡くなり、彼の魂は今、石川県のお寺(光闡坊)に眠っています。

 

 

 

 

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