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「子どもの貧困にきちんと向き合う」ための必読書

「子どもに貧困を押しつける国・日本」 山野良一著   光文社新書

子どもに貧困押し付ける国  日本の子どもの相対的貧困率は16.3%(2014年7月発表)と約6人に1人の子どもが貧困状況にあり、ひとり親世帯に限っては50%を超えているという現状があります。筆者は、豊かな日本の社会において、子どもの貧困が『見ようとしなければ見えないもの』になっている現状を危惧し、子どもたちや家族が置かれているしんどさや生きにくさを見えるように伝えることで、「子どもの貧困」に対するイメージを変えてもらいたいとしています。様々な図やデータが示され、日本がいかに子どもに貧困を押しつける国になっているのかを理解することが容易にできます。そのいくつかを紹介します。

 

 

 

  貧困問題の核にあるのは、お金やモノが不足するという経済的困難ですが、貧困問題の研究者たちは、それだけで問題が終わらないことを強調しています。貧困であることが、子どもや家族の生活の様々な面に影響を与えていることを示しているのが次の図です。

貧困めぐる状況

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の図によると、先進15カ国中、日本は失業率が最も低いにもかかわらず、貧困率は最も高い部類の国になっているのがわかります。
さらに、シングルマザーたちは先進国18カ国の中で日本は最も高い就労率となっており、そのことで子どもと触れ合う時間にも経済格差が生まれることになります。

貧困と失業率

 

 

 

 

 

 

 

シングルマザー就業率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これらから、一人親だけでなく日本の低所得世帯の親御さんの多くは、一般世帯と同様にきちんと就労しているにもかかわらず、労働単価が低いために貧困状況から抜き出せないでいる「ワーキングプア」状態にあると言えます。マスコミ報道などでバッシングにあっている彼らは、実は懸命に働きながらも貧困だということがわかります。

 さらに、政府の政策が原因で、貧困が増えていることが次の図でわかります。ヨーロッパの国々の子どもたちの平等さは、親たちの収入ではなく、所得再配分の大きさのおかげと言えます。貧困率の削減率が8割近くになる国もあります。

 

再配分前後

 

 

 

 

 

 

 

 

 大学への進学は、貧困の世代間連鎖から抜け出すための最も適切な手段です。しかし、日本は最も大学に行きにくい国であることが右図でわかります。オーストラリアは授業料は高いものの、返還不要の給付型奨学金などの支援を受けている生徒の割合が高いのです。日本は、どちらのグループにも入らない異質な国です。授業料も高く、奨学金制度も利子付きのローン型のものがほとんどで、奨学金を受けている割合も少ないという状況にあります。

奨学金受ける学生割合

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 筆者の次のメッセージに、政府への怒りを感じるとともに、まず正しい認識を国民が持ち、正しい政策が行われるよう要求を続けていかねばと感じます。

 『貧困率の公表後に、政府が発表した法律に基づく大綱には、残念ながら事実に対する危機感がみじんも感じられません。政府の無責任さが浮き彫りになっているばかり。・・・社会保障、教育、福祉、労働施策の貧困によって、犠牲を強いられているのは、無力な子どもたちです。長時間労働の父母の帰りやお迎えを待ちわび、保育所や自宅で淋しい思いをしているのは、まだ幼い子どもたちです。生活保護バッシングを垂れ流すバラエティー番組によって最も傷ついているのは、誰にもそのことを打ち明けられない子どもたちなのです。学費の高さに進学をためらい、また中途退学について悩まなければならないのは、自分の努力では貧困から抜け出すことができない子どもたちや若者たちです。・・・OECDのあるレポートは次のように指摘しています。「家族の環境が人生のチャンスを制限していることを子どもが知っているような社会は、希望を持ちかつ想像力に富んだ子どもを生み出せないであろう」と。』

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