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特集「学力・学習状況調査で学校・家庭は」  『教育』17年11月号

 雑誌『教育』は本年11月号でこの特集を組んだ。ここでは、所収の3編の論文を引用して、「全国学テ」に対する行政の問題点を示したい。

 曽和重雄(公立小学校教員)は教育委員会に関して次のように記す。「(全国学テの結果が勤務校に届いた後)教育委員会から問い合わせがあった。『全国平均が上まわっている学校はこの地域では少ない。かつ昨年度よりも平均値が上昇している。このような「成果」を生んだのはどのような取り組みによるのか一両日中に報告をしてほしい』(中略)みんなわかっている。今年度の児童数は昨年度に比べ1・5倍になっている。(中略)去年と今年では子どもが違うのだ」(「『ハムスター・ホイール』化する学校」、5頁)。

 加藤誠之(高知大学)は、高知県知事に関して、2010年9月12日付『高知民報』の記事を引用する。「依然として最下位クラスの中学校の『元凶』である高知市教育委員会に知事が明らかにイラついていることが見てとれるが、尻を叩いて短期的な成果を強調すれば、学力が向上すると知事は本気で思っているのだろうか。全国学テ=『学力』ではない。学力のとらえ方があまりにも狭い」(「学力テストの成績向上はよいことか」、20頁)。

 長堂登志子(沖縄県民間教育研究所所長)は、2007年から2013年まで県別の結果が最下位だった沖縄県が2014年に24位に「躍進」した背景を記す。「『補習を行った時間』はダントツに『放課後の時間』だが『授業を使って』『朝の時間』『お昼の休憩時間』『休み時間』『給食の準備時間』『8時15分の始業前の朝の時間』と隙間なく使われている」(「沖縄における学力向上対策の実態」、24頁)。この背景には沖縄県教委が実施する「到達度テスト」がある。

 この3編の論文によって、目先の成果にこだわる行政の問題点が一定、明らかにされた。「全国学テ」に狂奔する行政の学力観は極めて貧弱である。私たちは、「学力とは何か」という問題を改めて考え、訴えたい。

 〈評・高木 哲也〉『教育』2017年11月号所収、667円+税 (17年11月1日)

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