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私たちは原発と共存できない  日本科学者会議 編

 原発本また「3・11」が近づいて来た。この3年間で、私たちの脱原発意識は高まったのだろうか。やや心許ない。

 本書は、日本科学者会議会員18名の論文をまとめている。現在の放射能汚染問題、事故の責任問題、福島第1原発の現状などを記し、「私たちは原発と共存できない」と主張する。70頁余りのブックレットだが、実に力強い。

 さて、小欄で18もの論文の全てを紹介することは不可能だ。重要な指摘の数点のみを紹介したい。

 まずは、原発事故の責任問題について。「歴代の自民党政府が「国策」として原子力発電を推進してきた以上、政府の責任はあいまいにされてはならない。ある意味では、東電以上の責任がある。(中略)政府と東電の責任は明らかだが、誰も責任を取っていない」(24~25頁、伊東達也)。大事故の責任を取ろうとしない国が進める原発推進策など、一体、誰が信用できるだろうか。

 次に、原発廃絶の理由を二つ。「原発で使用した核燃料棒は、核反応の結果、必然的に多種多様の放射性廃棄物を生み出す。この放射性廃棄物の安全・確実な処理方法を人類は未だ見出していない。このことが、原発の危険性を指摘し、原発廃絶を求める最大の理由のひとつである」(60頁、俣野景彦)。「現在の原発が未完成、未成熟な技術であることは誰の目にも明らかである。では、改良を重ねて完成した技術、成熟した技術にできるのだろうか。私たちが現在知りうる自然法則に基づくならば、それは不可能である。(中略)見通しのないものを、ただ将来をあてにする愚行は許されるべきではない。原発の利用はそのような愚行であって、本来的に許されることではない」(65頁、長田好弘)。

 現代科学は、政治から中立ではあり得ない。日本科学者会議の主張に心から敬意を表する。

 〈評・高木 哲也〉

合同出版・2013年・600円+税   (14年2月25日)

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