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「日本国憲法」なのだ!  赤塚不二夫・永井憲一  著

 日本国憲法なのだ本書冒頭の「マンガ日本国憲法」を読んで、懐かしさと笑いで、死にそうになった。

 バカボンのパパが語る、「世界のみなさん 日本はもう戦争はいたさないのだ!」。

 厳(いか)つい鷲が「日本はアメリカの兵器をどんどん買って世界の安全を守りなさい」と言うのに対して、ベシ(懐かしい!)が言う、「プラモなら買うべし」。

 デカパンは言う、「さいきんは国民のためというより国の権力につごうのいいことを決める裁判官が多いだス」。

 アッコちゃんが、「五月三日は憲法記念日よ!」と言うのに和してチビ太が語る、「この日は日本の国民がおだやかにくらせるため忘れてはいけない日だいっ!」。

 最後にニャロメが、「ボクらの権利もだいじにしてニャ!」とつぶやく。実に懐かしさと説得力に溢れている。

 このマンガには、「永井憲一・文」とある。となれば、憲法学者である永井のアドヴァイスで台詞が作られたのだろう。しかし、台詞が、実に「赤塚流」にこなれており、自然だ。

 さて、本書後半部には赤塚と永井の対談が載っている。ここで赤塚は次のように語る。

 「ぼくは、政府の考え方で、憲法がどういうふうにでも解釈されちゃうっていうのも、どうかと思いますね。だって、憲法に「軍備をもたない」って書いてあるのに、自衛隊ができて、どんどん大きくなっちゃっているでしょう」(27~28頁)。

 この対談が行われたのは、今から30年以上前である。「解釈改憲」などという馬鹿話を真顔で語る政治家たちは、この赤塚の言葉をどう聞くのだろうか。

 石子順は、赤塚を「ギャグを通して、世の見せかけの真実をあばくことができる」(23頁)と評しているが、赤塚とは、「実に真っ当な感覚を持つ、ギャグの天才」だと言えよう。

 〈評・高木 哲也〉

草土文化・2013年改訂新版・900円+税 (14年5月10日)

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